「本サービスの利用中にお客様が被る可能性のある損害に関して
お客様が合理的に必要であると考える健康保険、損害賠償保険、
災害保険、人身傷害保険、医療保険、生命保険及びその他の
保険契約をお客様の責任において維持することに同意するものとします」
何の注意喚起でしょうか?
↓
2016年7月22日日本でサービスが開始、配信が始まった「ポケモンGO」の
「アプリをインストール後、初めて起動する際に利用規約と
注意喚起画面を表示し、同意しないと進めないようにする」、
「安全なプレイ」という表題がつけられた条項の中にある文章です。
が、ゲームを始める前に読んでいる人は、果たしてどれだけいるのでしょうか。
ここまでしてアプリ開発のナイアンティック社には責任がないということが強調され、
実際に紛争が起きた場合はさらなるハードルがあります。
「抵触法を考慮することなく、カリフォルニア州法に準拠する」とされていて、
日本の法律では争うことができない。
そして、そもそも訴訟になること自体を回避するため、「仲裁合意」という
項目が設けられ、紛争が起きてもなるべく司法の場に持ち込ませないように考えられています。
「仲裁人は、アメリカの弁護士免許を有する引退した裁判官又は弁護士が勤めるため、
ほとんどアメリカ人などの外国人ということ。原則として書面審査であることが前提となるため、
日本人が英語で訴えの書面を作成しなければならずハードルは高い。
また、仲裁人がアメリカの弁護士免許を有することから、
日本人のユーザーとアメリカ企業のどちらを勝たせるか公平性が問題になる可能性もある」
「ポケモン」というと任天堂のゲームというイメージが強いが、
「ポケモンGO」はグーグルでGPSを活用した社内事業から始まったナイアンティック社が作ったもの。
任天堂および株式会社ポケモンは、あくまでナイアンティック社の株主に過ぎず、ライセンサーという立場です。
今回の利用規約をよく読んでみると、他にも「契約社会」アメリカ流の周到に責任を回避する姿勢が垣間見えてきます。
日本人がいざという時に販売元に何らかの責任追及をしようとしても、簡単ではないということは頭に置いておく必要があります。
潜在的な危険が山積みなのを知りながら、責任の範囲が明確にされた契約書を準備して、
日本で展開して潰される前に欧米で流行らせておく。
中高生の夜間徘徊やゲームとは似つかわしくない場所に「ジム」や「ポケスポット」が置かれていることがニュースになるなど、社会現象とも言われる反響を巻き起こす事を狙って展開を行っています。
事故発生の可能性
「ポケモンGO」を操りながら自動車を運転するなどで取り締まりを受けた数が71件、
さらに人身事故が4件、物損事故が32件。これが7月22日の配信開始以降、
25日午前11時半までに全国で起きたポケモンGO絡みの事案件数です。(警察庁発表)
・「ジム」「ポケストップ」などの拠点では、一瞬の採り逃しを惜しんで急ブレーキを踏む自動車や自転車がいるかもしれない。
狙いが同じで画面集中状態のまま追走している自動車や自転車がいれば、激突して双方が思わぬケガを負う事態もありうる。
・スマホを見ながら自転車や自動車を運転して横断中の歩行者と衝突。
・歩きスマホが原因で、通行人にぶつかりケガを負わせてしまう。
といった事故発生の可能性があります。
上記の通りアプリの制作元のナイアンティック社へ賠償責任を求めることが難しく、
ユーザーとしては自動車事故では自動車保険、自転車や歩行中の歩きスマホで起きた事故には
個人賠償責任保険の準備が必要と考えられます。
たかがゲームをやるために保険まで入って、自分の損害を守るとはピンと来ないかも知れません。
しかし、近いうちにさきほどの事故例を身近なところで耳にするかもしれません。
「ポケモンGOのおかげで運動不足が解消された」とか「親子の会話が増えた」
といった声も聞こえてくるポケモンGOですが、マナーを守って遊ぶことが一番大事です。
少し工夫するだけで歩きスマホをしないでもポケモンが近くにいることを教えてくれる機能があります。
歩いているときには周りをよく確認し、子供にやらせる場合は周りをよく見てあげましょう。