タイムライン防災(事前対応計画)

既に1ヶ月前の出来事になりましたが、
列島を横断した台風19号で異例の対応がありました。


JR大阪駅で台風の近づく前、
まだ明るいうちからJR西日本の近畿の在来線をすべて運休にしたのです。


台風の最接近をゼロとして逆算し、
事前に立てる計画(タイムライン)が実行されました。
運休や遅れにより48万人の乗客に影響のあった今回の対応。
運行後の運休となると大きな混乱をまねく恐れがあるという
判断からのものでした。


事前にある程度予想がつく
・大型台風(高潮、洪水などを含む)
・遠隔地で発生した地震による津波
・豪雪
などの自然災害には有効となる防災タイムライン。
また、新型インフルエンザの大流行、計画停電の実施、
正規に届けられたデモなど、事前に見通しがつくリスクにおいても有効となる可能性があります。


一方、突発的に発生する自然災害。
例えば、地震、ゲリラ豪雨、竜巻、落雷などには対応が難しいものとなります。


タイムラインの考え方とすれば、
従来の被害を出さないための対応+被害が出ることを前提とした対応の
2つの備えを用意することになります。


このタイムライン防災によって被害を縮小できた事例が、
2012年に発生したハリケーン・サンディーでのニューヨーク州地下鉄での対応です。

140521_2_3
乗客に事前予告した上で、ハリケーン・サンディの上陸1日前に運行を停止しました。
これにより地下施設などに浸水被害はあったが、運行中に浸水することもなく、
人的被害もありませんでした。
2日後には一部区間の運行が再開され、長時間の影響は生じることはありませんでした。


防災タイムラインは、事前の「いつ」「だれが」「何を」を
厳密に時系列で定めることで有効になります。
明確にだれが、何を実施すること、さらに「いつ」と決まっていなければ、
災害発生時においては情報収集に追われ、関係部門との連携が遅れてしまいます。


また、警報が発表されたが、深刻な事態には至らないケースも発生します。
空振りの可能性があること。
さらにそれによって経済的、時間的損失も認識しておく必要があります。
しかし損失を意識しすぎるあまり、見逃しがあったり、
早期の防災行動を実行することに萎縮してしまうことがあってはなりません。
そのため、平時の段階からタイムライン防災の意義を
教育や報道を通じて浸透させていくことが必要となります。
私達とすれば、空振りや防災行動の早期実施を許容する心構えが必要となってくるでしょう。